いまさら聞けない印刷用語集その29「画像サイズと印刷サイズ」

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今やポジフィルムや印画紙プリントで印刷用写真原稿を入稿することはほとんどなくなり、もっぱらデジタルカメラで撮影した画像データを使うようになりました。

そのような状況になってくると入稿の際、画像サイズ(解像度)の問題が非常に多く起こるようになりました。

昔のようにフィルムやプリントで入稿されれば、印刷会社の方で印刷サイズに合わせた適性サイズでスキャニング作業をおこなうのでそのような問題は起こりませんでした。

また入稿されたデータが実際の印刷サイズに必要なサイズより大きい場合も印刷会社の方で適性なサイズにリサイズすれば問題ありません。

問題なのは、印刷サイズより小さな画像サイズで入稿された場合です。

この場合、適正サイズにリサイズすると画像が荒くなったりボケたりしたりと劣化が起こります。

■適切な画素サイズの画像



■適切な画素サイズの1/2の画像


それでもサイズ不足の程度によっては劣化が気にならないケースなどもありますが、たとえば写真集などの美術関連書や書籍、カタログ・パンフレットなど写真のクオリティーが重要なファクターである印刷物では画素サイズが足らないことは致命的な問題だと言えます。

そこで、印刷サイズごとに適切な画素サイズを、印刷適性解像度といわれる350dpiを目処にまとめてみました。

印刷サイズ 必要画素サイズ(350dpi換算)
A1(594mm × 841mm) 8185px  × 11589px
A2(420mm × 594mm) 5787px × 8185px
A3(297mm × 420mm) 4093px × 5787px
A4(210mm × 297mm) 2894px × 4093px
A5(148mm × 210mm) 2039px × 2894px
A6(105mm × 148mm) 1447px × 2039px
B2(515mm × 728mm) 7096px  × 10031px
B3(364mm × 515mm) 5016px × 7096px
B4(257mm × 364mm) 3541px × 5016px
B5(182mm × 257mm) 2508px × 3541px
B6(128mm × 182mm) 1764px × 2508px

このデータをデジタルカメラの スペックでよく聞く記録画素数に置き換えてみると、はがきサイズにあたるA6サイズで約600万画素、A4サイズで1200万画素の性能があれば、印刷用データとして十分なサイズだと言えます。

したがって最近のスマートフォンに付属しているカメラでもクオリティさえしっかりしていれば十分に印刷に耐えうる画像サイズで撮ることができることになります。

また、現在の一眼レフカメラですと大体1600〜2000万画素のものが主流ですので、その場合はB4〜A3サイズのフルトリミングまでは印刷適性が十分にあることになります。

ちなみに画像データの画素サイズを調べる方法は、Windowsの場合は、当該の画像ファイルの「プロパティ」を、Macの場合は「情報を見る」を見れば確認することができます。

スマホの場合は、Andoroidはデフォルトで情報を見ることが可能ですが、iPhoneはデフォルトでは画像サイズや画素数は確認できません。
ただし写真情報ビューアーアプリを無料版でも入手は可能です。

ところで、印刷用に画像データを入稿するにはデータサイズが大きいとメール添付では送れないので、CDやDVDにコピーして手渡しや郵送するか、ファイル転送サービスを使わなければなりませんが、CDやDVDでのやりとりでは手間や時間がかかってしまいますし、ファイル転送サービスも大きな容量になると有料になってしまいます。

そこで、弊社では自前のクラウドストレージサービスを無料でご用意しています。

具体的には、クラウド上のサーバーにお客様専用フォルダをご用意し、お客様にはそのフォルダーへのアクセス用のURLとログイン用パスワードをお知らせし、そのフォルダをお客様専用として弊社で共有します。

お客様のほうでは、弊社からお知らせした専用URLにパスワード入力でアクセスして、データやファイルをアップロード・ダウンロードしていただけます。

また、弊社のサーバーでは現在1TBの領域を確保していますので、ほぼデータ容量を気にすることなくご利用いただけます。

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【印刷用紙事典】番外編 越前和紙 視察レポート(後編)

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岩野平三郎製紙所さんの次にシルクスクリーン印刷機を使っての雲母摺りなど和紙加工を手掛けられる加藤紙工所さんをお伺いした後、今度は機械抄きを見学したくて、三田村製紙所さんを訪れました。

三田村製紙所さんは、局紙が専門で、主に賞状用紙や卒業証書用紙、それに出版用紙などを取り扱い、透かし加工などにも対応されています。
この日は残念ながら機械は稼動していませんでしたが、機械を見ながらそれぞれの工程を三田村さんから説明していただけました。



機械抄きとは言え、製造する工程に変わりがあるわけでなく、それぞれの工程が機械化されているだけでして、まずは紙料を撹拌するところから始まります。
 


紙料としては、パルプのほか、紙出(断裁仕上げしたときに出る余り紙など)などを再利用するそうで、そういう意味では局紙というのはリサイクルペーパーとも言えますね。



撹拌して解きほぐされた原料をタンクに移し、作業工程がスタートします。





紙料は沈殿・分離や濾過などを使って不純物などを取り除き、抄造工程に進みます。





ベルトコンベアー上に原料が流し込まれ、抄き作業と乾燥作業が合わせて行われ、ロール状になった紙が出来上がってきます。
透かしを入れるときは「抄き」の工程のところで透かしの「型」をはめ込みます。

通常洋紙・和紙にかかわらず、紙の抄造機と言えば、かなり大きな機械設備となるのですが、この機械は紙の抄造機としては一番小さい部類にあたり、製造ロットも比較的少ない量から対応が可能だそうです。

この日は機械が稼動していなかったので私の拙い説明では分かりにくかったとは思いますが、以上が機械抄きの和紙の工程のざっとした流れです。

今回は日帰りで駆け足の視察で、越前和紙の一部しか見ることができなかったと思いますので、またゆっくりと訪れたいのと、今度は他の和紙産地さんにもぜひお伺いできたらと考えています。

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【印刷用紙事典】番外編 越前和紙 視察レポート(中編)

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山口荘八さんの工房の次に伺ったのが、岩野平三郎製紙所です。
こちらは国内最大の手漉き和紙工房といわれ、特に画紙の抄造は初代から越前一の名工とうたわれ、現代にいたるまで多くの著名な近代日本画家たちに愛用されてきました。

上の写真は工房の中でも一番大きな漉き舟で、特大の特注和紙を漉くための設備です。



この日はまず、煮上がりした原料の雁皮(ガンピ)や三椏(ミツマタ)からゴミやチリなどの不純物を手作業で取り除く作業を見学させてもらいました。





以前は紙漉きを担当されていたベテランの従業員さんが、ほんとうに細かいところまで丹念にゴミやチリを取り除いておられます。
このあと漉きやすいように細かく裁断されます。





こちらの写真は「ねり」といって、和紙を流し漉きする際に紙料と混ぜ合わせる植物粘液で、トロロアオイの根などから作られます。
このねりを混ぜることによって紙料が水の中で均一に漂浮して漉簀の操作がやりやすくなるほか、紙自体の腰を強くする効果もあるそうです。







この日はいくつかの漉き舟で、それぞれ二人一組で職人さんたちが襖判の大きさぐらいの「雲肌麻紙」を次々と漉かれていました。
こちらの工房の四代目社長さんは女性の方なのですが、従業員さんも若い女性の方が目立っていました。



さて、漉き上がった和紙は隣の作業場で、濡れて水分を含んだ状態のまま二人がかりでヘラで気泡を抜きながら乾燥用の干し板に平坦に貼りつけます。



そしてその和紙を貼り付けた板を乾燥用の室に入れてしっかり乾燥させます。
乾燥が終わった和紙は再び室から取り出され、このあと台板から和紙をヘラで剥がすと完成です。

ふたたびつづく・・・・

参照サイト:福井県和紙工業協同組合 「越前和紙®」
      越前和紙の里

【印刷用紙事典】番外編 越前和紙 視察レポート(前編)

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先月、産地問屋の社長さんのご案内で、福井県越前市の越前和紙の産地を視察してきました。

越前和紙は1,500年という長い歴史があり、また全国でも唯一の紙祖神「川上御前」を祀る岡太神社を護り、連綿と今日まで紙漉き、和紙づくりを営んできています。

その技術と品質は日本全国に数ある和紙産地の中でも最高といわれ、室町時代から江戸時代にかけては「越前奉書」や「越前鳥の子紙」は公家・武士階級の公用紙として重用され、全国に広まるとともに、現代では「格式ある」紙として各種の証券や証書などに用いられるほか、多くの著名な日本画家などからは、画紙として愛用されています。

この日は、まずはお昼ごはんに「越前そば」(写真を撮るのを忘れました)をいただいてから、和紙づくりを営む五箇(大滝町・岩本町・不老町・新在家町・定友町)の鎮守である岡太神社・大瀧神社にお詣りしました。



前述の通り、このお社は、里に紙漉きの技術を伝えたといわれる川上御前を祀り、神体山である権現山の山頂にある奥の院とそのふもとに建つ里宮から成り、里宮は、江戸時代後期の社殿建築の粋を集めて再建されたもので、昭和59年国の重要文化財に指定されました。



こちらの春と秋の祭礼は五箇の里を挙げてのお祭りだそうで、特に毎年ゴールデンウィークにある春の例祭は「神と紙の祭り」と呼ばれ県の無形民族文化財にも指定され、大変賑わうそうです。
是非今度はその時期に合わせて伺いたいものです。

さて、いよいよ視察を開始し、まずはご夫婦で手漉き奉書を生産されている山口荘八さんの工房にお邪魔しました。

ちょうど昼休みが終わり、午後の作業が始まったところでした。
この日の作業は透かし文字入りの証書を漉いておられました。



まずは原料を漉舟(すきふね)の中で撹拌します。



そして抄紙つまり紙を漉く作業です。
水中にちらした紙料を簀桁(すげた)で漉くっていきます。



予定した厚さになると桁から簀をはずして、湿紙(しとがみ)と呼ばれる漉きたての紙を重ねてゆきます。



このあとこのまま一晩おいて水切りの後、「圧搾(あっさく)」という作業で余分な水分を取り除き、干し板に貼り付けて乾燥させます。

つづく・・・・

参照サイト:福井県和紙工業協同組合 「越前和紙®」
      越前和紙の里